成金詐欺師との戦いは、六本木ヒルズとベントレーと海老と蟹が乱れ飛ぶ

2010年05月02日

pm13:38・・・吉祥寺駅前交差点で赤信号に引っかかる。
pm13:39・・・左隣に軽トラックが停止する。

ドラマはここから始まった。

気温の上昇に伴い、左右の窓はオープン!
走るたびに駆け抜ける乾いた風が気持いい


吉祥寺駅交差点

隣に泊まった軽トラックの親父が、
身を乗り出し、僕に向かって何かを叫んでいる。

左ハンドルの車に乗っていた僕は、
このオッサンと親密な会話が出来る距離にある。

親父:「おい兄ちゃん、
    兄ちゃんの車のナンバー、俺のベントレーと同じ番号だぞ!」
    
    (※ベントレーとは、ロールスロイスのスポーツカータイプで3000万
     は下らないセレブ中のセレブの車。元社長が乗っていたのでよく
     知るが、成金が好む車)

親父:「兄ちゃんの乗っている車、うちの娘の車と同じだし、奇遇だな!」

僕:「そうなんすかぁーー」

親父:「俺はよ、高級食材の卸をやっててな、六本木ヒルズに家もあるし 
    よ、結構大きな商売をしている社長なんだよ!」

僕:「やりますねー!」   ・・・適当に返事する。
 
親父:「お前よ、伊勢海老好きか

僕:「まぁ好きです、うちの嫁はめっちゃ好きですねーー」

親父:「よっしゃ、お前気にいった! 
    伊勢海老をプレゼントするから俺について来い」

僕:「マジで?」

親父:「本当にやるから着いて来い、いらねーんなら来る必要ねーぞ!」

と、
言い捨て、
車は左折し、
ハザードを点滅させながら走っていく。

僕:「おっさんよ、ハザードたくなんて俺を完全に誘っているじゃねーか!」
  「何だか分からんが、このストーリーの結末に興味が湧くなぁ!」

結果、親父についていく事に決めた。

ちなみに、約束の待ち合わせ10分前の出来事だ。

待ち合わせ場所に到着した上で起きた、
予想の出来ない事態に心は躍る。
伝説が生まれる匂いがする。

吉祥寺の駅から50mほど路地に入り込み、
おっさんの車は止まった。

親父:「おい兄ちゃん、こっち来て車の中の海老をみてみろ!」  
    「お前車のドアをちゃんと閉めろ!、鍵閉めてこっちに来い」 
    「見たくないんなら帰っていーぞ!」

突き放しつつも、やたらに僕を拘束しようとする。

「帰ろうかな」というしぐさを見せると、
即刻話題を転換させ、以下のようにつなぐ・・・

親父:「お前、海老と蟹、どっちが好きだ?。正直に答えろよ!
    信じられねーもんみせてやっからよー」

僕:「伊勢海老っすね」

親父:「お前贅沢するじゃねーか!、
    いいか覚悟しろよ、すげー海老見せるぞ!

と言って箱の中から取り出した海老は

「ちょーーーでかい!」

しかも、その海老の暴れ方と言ったらとんでもない。
 オオーw(*゚o゚*)w

あんなに活きの良い海老は、本場の三重県や静岡(浜松近郊)でも見た事が無い。(ちなみに僕は18歳から21歳まで食材会社に勤務していて価格にも通じるところがある)

三重県で活伊勢海老を買った事があるので、
大きさから考えても1匹2万円しても不思議ではない。

そこで親父のトークへ戻る!

親父:「今日はよ、世話になったお偉いさんによ、お礼の品として届けよう 
    と思って活海老を用意したんだけどよ、留守だと言う事が急にわか
    ってよ、生モンじゃねーかよ、このまま持って帰るのもしゃくだしよ、
    兄ちゃんとナンバー一緒だったからよ、親近感湧いてプレゼントし
    てやろうと思ってよ、迷惑だったか?」

僕:「いや、そんなことないっすけど・・・」

親父:「て言うことは欲しいって事で良いんだな」
   :「じゃあな、この伊勢海老を2匹お前にやる!」



しかし、
この直後から、
このおっさんの本性が見え隠れし始める・・・

親父:「この海老をお前にやる、良かったな」

    「でも、お前乞食じゃねーんだし、もらいっぱなしも嫌だろ!」
    「そこでだ、しょうがねーからこれを一緒に買ってけ!」

    「それで海老は気持ちよくもらったらいいじゃねーか」
    「そっちの方がお前も気分いいだろ」

    「俺はそういうことも分かってる人間なんでな、
    でなきゃお前、ヒルズに家なんて持てやしねーし」

    「お前、松葉と毛蟹、どっちが好きだ?」
    「凄い毛蟹がいるぞ、見てみろ!」
    「実際にめちゃくちゃ活きが良く、実がぎっしり詰まっている活蟹が  
    10匹くらいうごめいていて、素人から見ても新鮮な食材と言うのは
    一目で理解できた」

しかし、僕は毛蟹が好きじゃない。
うちの奥さんも、毛蟹は手が痛くなるから敬遠気味だ

自信の毛蟹を見せたにも関わらず、
難色を示し始めた僕に対し、
親父は松葉蟹中心とした戦略で建て直しをはかる。
(岩手人は意外と毛蟹とはなじみが多く、珍しくもなんとも無い食材だ)

    「この蟹を食ってみろや、うますぎて死ぬぞこら(゚皿゚メ)」
    「ほれ、松葉食え」
    (※山陰地方で取れるズワイガニを松葉蟹と呼ぶ)
    「松葉の足をおもむろに剥いて試食を促す」

・・・試食するが、余りの急展開で味わう余裕は無い
                                珍しく放心中・・・

親父:「どっちにするかそろそろ決めろ」

僕:「この松葉蟹に何ぼ払えっつーの?」

親父:「逆にお前、何ぼ払えるんだ?」

僕:「これだけの短時間でよ、今の事態を飲み込むにも苦労しているの  
  に、何ぼ払えるかなんて決められるわけねーだろ!」


口をとんがらせて逆らう僕

親父:「分かった分かった、
    じゃあ質問を変える、今何ぼなら使えるんだ?」

僕:とっさに「1万円ならばおっさんに付き合ってもいいぞ」

僕はこの親父のせいで頭がおかしくなりかけていた。
・・・ついさっきまで交差点で信号が青になるのを待っていただけなに・・・

いつの間にか、セリに来ているかのような切羽詰った感じに追い込まれ、挙句の果てに「1万円」なら付き合うぞ!とのたまっている。

・・・狂っている。

親父:「1万円か、しょうがねーな、
    分かったから黙って金置いてこの海老と蟹をさっさと持ってけ!」
    松葉と毛蟹、どっちにするんだ?」

僕:「松葉で!」

1万円を無造作に奪い取りながら、
親父の「べらんめー口調」は止まらない。

親父:「お前今日の夜は思いがけずにご馳走で良かったな、死ぬほど美
    味いから楽しみにしとけよ」
    「氷と新聞紙もちゃんと入れとくからな、しばらくは帰んなくても問題
    ないから安心しろ。この海老はな、ただ事じゃーほど凄い海老だか
    ら、ちょっとやそっとじゃ死なねーんだよ( ̄ー ̄)ニヤリッ」

親父:「突然悪かったな、でもお前ついてるなぁ、こんなラッキーは滅多に
   ねーぞ、何たってよ、俺のベントレーとナンバーが一緒なんだからよ」      

僕:「何だか騙されたような気がしてるんですけど、
  おっちゃんまさか信号待ちで偶然となりにいる奴をこうして誘い出して
  は海鮮を売りつける仕事してねーよな(`□´)コラッ!」
  「もしそうならば、確率低いから全うな商売した方がいいぞ!」

と最後にカマをかけて見ると、
おっさんは売り切った後の僕に全く興味が無くなったのか、
無反応で、

「元気でな」

と言葉を残し、ハザードを消して視界から消えていった。

ハザードは「来い」、
ハザードを消すは「じゃあな」という意味だったのか?
今となっては確かめる事はできない。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
この物語は台詞に至るまで完全な「ノンフィクション」であり、
交差点から別れまでに要した所要時間はなんと「15分」であったことを追記しておく。
この件は、
直後に待ち合わせをしていた親友の「平木氏」が証明してくれるに違いない。

夕方、奥さんにこの件を電話で報告すると・・・
「毒でも入ってるんじゃない?」

と突っ込まれるも、

「活きてるんだけど・・・」と答え、

本日のこのドラマは美味いかまずいかによって、
「是か非」かジャッジされる事に決まった。

その海老が以下の写真↓
伊勢


←胴体のみで(食える部分)全長が25cmはあり、 身は引き締まり、筋肉は分厚い。
スチーム鍋の中でも大暴れしていた。







やがてこの海老はバター焼きに姿を変える
海老


←身の厚さは火を通した後にも関わらず、
  3cm以上ある。


嫁と二人の感想は、
「過去最高ぶっちぎりナンバー1海老」

ちなみに、「松葉ガニ」も、
「過去最高ぶっちぎりナンバー1蟹」であった。

あの親父は、
日本最高レベルの流通を持った人物であった事が推定される。
なんであんなにインチキくさかったのだろうか?

いや、
インチキくさかったのでは無く、
あのおっさんは実際に僕を騙していた・・・


確か親父は、

「じゃあな、この伊勢海老を2匹お前にやる!」と言っていた。
「その代わり蟹を買っていけ」

たしかにそう言った。

そして、
僕の目の前で、
2匹の伊勢海老が袋の中に入ったのを確認した。

しかし、
お金を取りに車に戻った隙に・・・
親父は小細工をろうしたようだ。

家に帰ってきて二匹の海老を取り出してみると、
片方は、
海老のような形に丸められた・・・
新聞紙の塊にすり替わっていた。

僕はこの一件で、
得したのか、
損したのか、
いまだに分からない。

ただ一つ分かっている事は、
人生であれほど美味しい「海老と蟹」を食べたことは無いということ。
相当なる食べ歩きをした食材だけに、
自分の舌を信じたい。


親愛なる皆様に、このアホドラマを奉げます。






mikatajcc at 01:16│Comments(1)TrackBack(0)この記事をクリップ!

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この記事へのコメント

1. Posted by ヨッチャン   2011年10月27日 15:59
今日、10月27日午前11時六本木交差点にて
僕も同じ手口に遭いました!
そのおじさんはいきなり兄ちゃんの車うちの娘と同じなんだよって
言ってきて丁度娘の出産祝いで伊勢エビ持ってるからやるよって
言われ後の手口は全く同じです!海老二尾とかにを二杯買えって言われて二万円でした。多分一万円はぼられてると思いましたが
かわいそうなおじさんだなと思い買ってあげました!絶対に探し出してそのおじさんの正体をつきとめたいです!因に知り合いも同じ手口にあったらしく焼酎付きで3万円だったそうです。
僕には演歌歌手の後援会長と大手芸能事務所社長の親友で彼が亡くなった時の葬儀委員をしたとかも言ってましたよ。

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