茨城県稲敷市の酪農家・上野裕さんと出会ったのは、2013年の農業者が夢を語るイベント・世界農業ドリームプランプレゼンテーション(略して農業ドリプラ)のイベントでした。上野さんのプレゼンは感動大賞を受賞。私はスタッフとして参加。
 

開拓スピリッツの継承と苦肉の策の放牧スタート

今の牧場のある集落は、上野さんのおじいさんの代に昭和20年代に開拓された土地。もともとは湿地帯で農地にはできなかったため、仕方なく牧場に。そしてお父さんの代で、酪農が軌道に乗り、その仕事は上野さんの代に受け継がれました。しかし、最近は土地を離れるものも増え、限界集落に。

DSC00587




 

上野さん自身も酪農がうまくいかない時期がありました。

従来の牛飼いのスタイルは、放牧ではなく、牛小屋で牛を飼うスタイル。労働コストが高いうえに、病気になる牛も出てその治療費にもコストがかかる悪循環。

そのコストをなんとかしようと、苦肉の策として、放牧に踏み切りました。

するとどうでしょう。牛たちは元気になり、生えた草を牛が食べるので草が牧場にあるうちはある程度放っておけるため、労働コストも下がりました。

DSC00562






「放牧は最も原始的な酪農。人間は何もしない。牛が草を食んで仕事をしてくれる。」

そんな風に上野さんは話します。
 

たどりついた「約束の地」

初夏を迎えると、牧場に白いクローバーの花が咲き誇ります。

canstockphoto19217074



 

そんな花で包まれる牧場で牛が黙々と草を食みます。

青い空が広がり、さわやかな風が吹いています。

花にはミツバチが蜜を集めにきます。

この光景について「何度見てもいいんだよなあ~」と話してくれています。
そして「この時期の季節のミルクの味は格別なんだよね。」

DSC00520






人懐っこい牛。大切に育てられのびのびと暮らしていることがうかがえます。上野さんの牛への信頼も感じさせます。

DSC00546






その光景を眺めながら、上野さんは思いました。

「ああ、ここが「乳と蜜の流れる地」なんだ!」

聖書において「乳と蜜の流れる地」は、奴隷の民を神が救った時に連れて行こうとした約束の地。動物や植物が豊かに暮らす土地。

囚われた心を解放してくれる土地。

この場所は、上野さんが酪農のスタイルを放牧に変えて、労働やコストの呪縛から解放されたように、多くの人の心をそれぞれの囚われから解き放つチカラを持っている場所です。

上野さんの牛への信頼。牛は自分で仕事をしてくれると思うこと。何か人間社会で、上司と部下の信頼関係へなぞらえることもできます。部下を無理にコントロールするのではなく、信じて任せると、立派に健全に仕事をしてくれます。
 

「何もしない夢」が生み出すこと

農業ドリプラで4ヶ月かけて、夢を言葉や映像にしていった末に、上野さんがたどりついた言葉。

「自分では何もしない。」

この言葉に含まれることはたくさんあるのですが、私が受け取った思いは、

 「このまま放牧を続けていくこと」
 
 「先人の切り開いた土地を守っていくこと」
 
 「ここにある資源を有効活用してくれる人へ機会を提供すること」

農業ドリプラで思いを語ると、支援をする企業や個人が次々と手を上げてくれました。夢をカタチにする方法として、この土地で何かを学びたい人が集まれる施設を作る計画も動き出しました。

DSC00601






夢を語ると何かが始まります。

未来を描くとそれに共感する人々が集まります。

夢は自分の中にしまっておくよりも、多くの人と共有することで、みんなの夢になります。日本人の夢になります。

まず夢を言葉にして語ることの大切さを、上野さんの牧場は語りかけてくれます。

上野裕さんのブログ: フィールド・オブ・ドリームス 乳と蜜の流れる地


[お知らせ]
モノ作りビジョン構築セミナー: ESCA理論で製品とプロジェクトのやりがいと売上向上
第9回 ナ★V-ティング 5/15(木) 18:30~21:30 
成功現場事例研究『 景色を売る』老舗造園業が企業化で成功
鍋は京都テイストやお庭の緑を旬の野菜であしらった「緑の鍋」!
お申し込みはこちら!